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2020年度

「地方創生賞(コト部門)」

コト部門大洲城キャッスルステイ
愛媛県大洲市

概要

 この取組は、一般社団法人キタ・マネジメント(愛媛県大洲市)とバリューマネジメント株式会社(大阪府大阪市)の共同事業ですが、代表してキタ・マネジメントが応募させていただくものです。 キタ・マネジメントは、大洲藩六万石の城下町に眠る地域資源を活用し、観光まちづくりを実践する愛媛県大洲市の地域DMOです。2018年に設立され、設立直後に発生した西日本豪雨では、甚大な被害を受け、まちは壊滅的な打撃を受けました。まちの復興を目指し、また将来の人口減少に立ち向かうため、官民連携により大洲城下町の再生を行っています。具体的には、取り壊しが進む城下町の町家・古民家を、地方創生推進交付金等の公的資金とファンド等の民間資金を活用しながらホテルやレストランなどに再生し、歴史的風致を維持しながら観光を産業として確立しようとしています。 そのフラッグシップとして取り組んだのが、日本初の事業化となる「大洲城キャッスルステイ」です。市が所有する木造の大洲城天守閣に1日1組限定で宿泊することができるものです。宿泊だけでなく、神楽や雅楽、鉄砲隊による演舞など地域に残る伝統文化も合わせて体験することができます。また、食事は、今に残る地域の逸品を選定し、これを現代風にアレンジし提供しています。さらに、この体験コンテンツの魅力を引き上げるのは、連携先であるバリュー社の質の高いサービスです。これにより、キャッスルステイは1泊100万円を超える富裕層をターゲットにした体験コンテンツに仕上げることができました。 大洲市が、全国的、また海外でも認知されるためには、大きな価値変換が必要となります。住民の合意形成、安全対策など、この取組は国、県、市などの行政機関、各種団体、民間事業者等の協力なくして実現しえないプロジェクトでした。 コロナの影響で2020年春のスタートは遅れたものの7月に1組目のお客様をお迎えし、これまでに著名人など4組のお客様をお迎えしました。収益の約1割を市に納付し、文化財の保全費用に充てられます。また、この取組によりまちの認知が向上し、同時期にオープンした町家・古民家を活用した城下町ホテル「NIPPONIA HOTEL 大洲城下町」にも想定を超える波及が生じています。さらに、歴史的資源を活用した民間独自の投資も進むなど城下町の再生が進み、地域内に持続的な経済の好循環がつくられています。

PRポイント

「城に泊まる」という取組は、スペインのパラドールなど世界的には知られていますが、「日本の城に泊まる」という取組は、海外でも新鮮でインパクトのあるものでした。せとうちDMOやJNTOを通じて発信がなされ、これまでもCNNをはじめ海外のメディアに多く取り上げられました。 大洲城キャッスルステイの特徴は、わずか一組のお客様を、神楽や鉄砲隊など総勢30名を超える地域住民が参加し、おもてなしをさせていただくことにあります。きらびやかで、また勇ましい衣装をまとった役付の住民がお客様をお迎えします。これは、1617年大洲城初代城主が入城したシーンを史実に基づき再現したものです。これに、太鼓や法螺貝、曳き馬、せりふ回しなどの演出を取り入れ、まるで往時にタイムスリップしたかのような特別な空間を提供させていただいています。しかも、お客様のご要望により、地域ならではのサプライズの演出などをオーダーメイドで創り上げています。これが大洲城キャッスルステイの最大の魅力であり、地元に精通した地域DMOと、一流のオペレーターが連携しない限り成しえないものと考えています。また、まちの規模としても大量の集客が難しく、一人当たりの消費額を高めていく観光スタイルが合っています。これまでの1組当たりの平均単価は約150万円です。お客様からは「この地でしか味わえない、唯一無二のプライスレスな体験」として高評価をいただいています。 この事業は地域経済への波及と持続可能な文化財保全を目的にスタートしたものであり、収益の約8割は文化団体の出演費や食材費等の地域内の費用に充てられ、約1割は大洲市の文化財保全費用に充てられるスキームです。また、キャッスルステイの使用品に選定される食材やアメニティなどは、ブランド化される効果が生じています。さらに、2020年12月には市のふるさと納税返礼品に選定され、寄付金額370万円の返礼品として、すでに1件のご寄付をいただいています。 この取組は、需要が不確定かつ不安定な中で、地域を巻き込みながらチャレンジと苦労、試行錯誤を繰り返してここまでまいりました。コロナ禍ではありながらも感染症対策を踏まえた新しい生活様式に沿い、一定の成果が現れているものと自負しているところです。今後は、JNTOなどとのさらなる連携により、コロナ収束後の海外からの需要を獲得してまいりたいと考えています。