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2022年度

「実行委員会特別賞」

実行委員会特別賞「共創のふるさと納税」による地域創生
~サスティナブルな地域づくりを目指して~
北海道芦別市

概要

 コロナ禍により、本市のふるさと納税寄附額の9割を占めていたスーツの仕立券を提供する縫製工場が令和2年9月末に閉鎖し、大きく寄附額が減少した本市のふるさと納税。 寄附額の多寡ではなく、生まれ故郷を離れて働いている方やゆかりのある方々に応援して欲しいという原点に帰り、生産者や事業者のみならず観光協会をはじめとした各種団体、市民や学生も巻き込み一緒になって考え、共に創りあげる「共創のふるさと納税」を掲げ、基幹産業の農林業を主とした返礼品のラインナップを取り揃えて、関係人口の増加を図るべく、様々な取り組みを進めてきました。 その中でも、地域の魅力を知る市民の意見を取り入れるべく、ふるさと納税をテーマとした議論の機会を行政主催の会議体や地元高校の貴重な授業の中に設けてもらいました。 様々な意見を取り入れた中で、地元にある自慢できる「米」に力を入れていくこととして、他の街と差別化を図れるようにとパッケージのデザインを高校生に考えてもらうことに合わせ、農家直送米や定期便等の寄附の選択肢を増やす等し、ポータルサイト「さとふる」では、令和3年12月に芦別市産米「ななつぼし」が1位に耀くまでの返礼品となり、全国から多くのご支援をいただく形にまでなりました。 とりわけ高校生が手掛けたパッケージ米については、お米の「一升」と人間の「一生」を掛け合わせたキャッチコピー「ひと粒でいっしょうの恋」と印象的なデザインで、今では人気の返礼品となっています。当初はふるさと納税専用のパッケージだったのですが、地元の方からも問い合わせをいただくようになり、地元の方々や観光客が立ち寄る道の駅での一般販売にまでこぎつけ、地産地消、お土産品としても好評を得ているところです。 また、地域にゆかりがあり、活躍されている「ヒト」にも焦点をあて、「星の降る里あしべつ応援大使」を務める元プロ野球選手の髙橋慶彦氏、同じく本市出身のラジオパーソナリティーようへい氏をパッケージとしたお米の返礼品の取扱いをスタートさせ、生まれ育った方が、地域への恩返しとしてYouTubeやSNS、ラジオを通じて、地域の魅力を情報発信いただく好循環も生まれました。 地域にある「ヒト」「モノ」「コト」といった点が、「ふるさと納税」を通じて線となり、今後は地域づくりというより大きな面となるよう取り組みを推進していきたいと考えています。

PRポイント

 市民の方々や地元高校生にふるさと納税の制度について理解を深めてもらい、新たな返礼品の発掘等のための地域の魅力や寄附を増やすためのPR方法等多岐に渡って議論いただきました。 特に、「芦別米」については、地元にある芦別高等学校での12回にわたる課題研究授業で「ふるさと納税」について考えてもらう機会をいただき、芦別米をブランド化するためのキャッチフレーズ、パッケージのデザイン案の作成を手掛けてもらいましたが、高校生による取り組みが卒業生や保護者、教諭を通じた全国へのPRというシャワー効果にもつながりました。 また、寄附金を、地域活動やまちづくりに貢献する人材育成、地域の活性化に寄与することを目的として実施している高校生を対象とした「芦別市地方創生塾」という活動の経費にも充ててバックアップをさせていただきました。 「芦別市地方創生塾」は、高校生自らが考えて行動し、「高校生が放課後に気軽に立ち寄ることのできる場所がほしい」、「せっかくだから高校生だけじゃなく、いろいろな世代の人が集まって交流できる場所があったら良い」ということで、令和2年度から検討・準備を進めて、令和4年に2度、1日限りの高校生カフェをオープンさせました。 高校生が考案したお米のパッケージをふるさと納税に採用し、そのふるさと納税でいただいた寄附を高校生カフェに活用することで、サスティナブルな循環を生み出しています。コラボすることで互いの取組をバックアップし、ウィン-ウィンの関係も生み出され、本市が掲げる「共創のふるさと納税」の姿となりました。 また、高校生米の取扱農家は、戦略的輸出事業者としての海外への輸出にあわせ、令和元年度にふるさと納税の取り組みスタートさせ、80件足らずだった寄附件数が、2年度には800件、3年度8,000件と大きく伸ばし、楽天への出店等新たな販路を拡大し、令和4年度には倉庫の増設や精米ラインの更新をはじめとした設備投資、PR動画撮影等を進め、雇用はもちろん域内での経済循環も生んでいます。 こういった街の価値を高める地方創生の一つとして「共創のふるさと納税」が少しずつ形になってきたことで、新たな返礼品取扱い事業者として若手農家の参入も進んできており、ふるさと納税をツールとした地域づくりをさらに進めていきたいと考えています。