2019年度
「地方創生賞（交流コンテンツ部門）」
交流コンテンツ部門広田湾海中熟成プロジェクト。
~ 海でお酒を沈める海中熟成体験による地域活性 ~
岩手県陸前高田市
概要
◉概要と目的：海中熟成を用いた体験型サービスによる地域資源の認知と消費拡大日本酒やワインを海に沈めて熟成させることで旨味が増し、まろやかになる特性を活かして、"継続的なファンづくりと市内回遊促進による地域資源の認知と消費拡大（産業活性化）"を目的として、地域全体に経済効果を創出する世界でも珍しい海中熟成の体験型観光サービスを提供しています。
◉実施背景：競争優位性のある経済活性化施策の必要性東日本大震災における復興支援の機運が薄れ、1970年代から続く人口減少による地域衰退が懸念される中、地方都市間の競争は進み、差別化が可能な競争優位性のある経済活性化施策が求められています。 そこで我々は地元広田湾の年配漁師であれば誰もが知っていた「海に酒を沈めると美味しくなる」「船の上に水を置くと腐らない」といった話に着目し、遊漁船資格を有する漁師の組合である我々だからこそ実現可能な他地域では行っていない、世界でも珍しい陸前高田だけの海中熟成の体験型観光サービスを展開しています。（海中熟成酒の販売だけであれば国内で10箇所ほど実施しているものの、常時実施可能な体験サービスはなし）
◉取組概要： 海外では沈没船から引き揚げられたワインやシャンパンが高値で取引されています。 また日本においても「下り酒」のエピソードとして、江戸時代に樽廻船で灘から海を渡り、江戸へ下ってきたお酒は美味しく、下っていないお酒は美味しくないと。良くないものを意味する「くだらない」の語源とも言われており、海がもたらす影響については昔から語られてきました。 海中熟成されたお酒は旨味が増し、まろやかになります。しかし味の変化要因については世界的にも解明されておらず、海の神秘という人知の及ばない範囲なのかもしれません。 本体験ではそんなロマンともいえる海中熟成の設置/水揚げの体験に加え、牡蠣やわかめなどの漁場見学や体験も行っております。こうした体験を通じて、地域資源の特徴や生産者のこだわり、人柄を知ることで理解を深めて頂き、ファンづくりにつなげています。 さらには農業関係者、地元の宿泊、飲食、小売業者との協同推進体制により、特典を提供することで宿泊客の促進や市内回遊性を増やし、地域資源の認知と消費拡大を推進しています。
PRポイント
1.世界に１つだけ！誰でも楽しめる陸前高田だけの海中熟成体験。
広田湾の海で約10ヶ月間ゆっくり波に揺られて熟成された瓶には貝殻がつき、熟成の様子を物語ってくれる模様は１つとして同じものはなく、世界に１つだけの海中熟成酒が完成します。 お酒が苦手な方やお子さまであれば、果物収穫体験と合わせて海中熟成フルーツ酢を作ったり、地元のりんごやぶどうジュースを沈める体験も可能です。またお客さまが好きなワインやウィスキーなどを持込み、水揚げ時に新しいお酒を沈めたり、いつ来ても何回来ても地域資源を活用した新たな体験と四季折々の食事を楽しむことができます。
2.地域資源を活用した体験型観光サービスによる相互地域の活性化
コンテンツ拡充と経済効果波及を狙いとして、熟成対象資源はお酒だけでなく地元のお米や味噌、醤油、味噌、梅干、お茶。さらに東日本大震災のご縁で生まれた国内外他地域のお酢やチーズ、珈琲豆などを海中熟成しています。 さらには熟成方法では国内遺産である地元の金山（洞窟）での熟成や、温泉の熱を利用した温泉熟成など漁業のみならず農家や事業主、そして市外とも連携していくことで、お客さまにより楽しんで頂ける観光コンテンツの提供が行えるとともに、市内における回遊性を高めることで地域全体の消費拡大につながります。また友好都市の地域資源を海中熟成させることで、該当都市からの観光客受入れや、友好都市資源の海中熟成商品と一緒に広田湾海産物を販売するなど地域間連携を深めることで相互の経済活性を実現するものです。
3.市外における商品提供を通じた観光客の誘致促進と経済効果の創出
市場規模の大きな １）お酒好き、美味しいもの好き ２）体験旅行好き のターゲット獲得に向けて、市外での観光客誘致促進の活動を展開しています。（春以降にさらに拡大） 友好都市におけるイベント出店を通じた海中熟成酒の提供はもちろんのこと、特にターゲットが興味を持つ美味しい食事を提供する飲食店にフォーカスして、本体験や広田湾産海産物と海中熟成酒のペアリング情報を発信することで、"食"をきっかけとして、本体験の認知向上と観光客の呼込みにつなげるものです。（ペアリングは今後） 飲食店における広田湾産海産物の消費拡大も狙いとしており、体験サービスではないものの市外販売拡大という意味で市内に経済効果を還流させる効果があります。