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2021年度

「地方創生賞(コト部門)」

コト部門若狭熊川宿の地域ブランド「八百熊川」
福井県若狭町

概要

熊川宿は若狭と京都をつなぐ鯖街道沿いに発達した宿場町です。京都市から約1時間の山間に、東西方向1kmにわたり江戸期に形成された町並みが残されています。これまでの保存のまちづくりが大きな成果を生み、平成8年に重要伝統的建造物群保存地区に選定、平成27年に日本遺産第一号に認定されています。しかし近年は地区住民の高齢化が進み、空き家も目立って増えてしまっていました。 株式会社デキタは、熊川宿の古民家を活かした宿泊事業やサブリース事業を行っています。シェアオフィス「街道シェアオフィス&スペース菱屋」(平成30年)、焙煎機付珈琲専門店「SOL’S COFFEE LAVORATORY」(令和元年)、分散型宿泊施設「八百熊川(やおくまがわ)」(令和元年~)などを開発し、現在もその運営にあたっています。八百熊川は3棟4室、12ベッドまで開発が進んでいます。直近4ヶ月の稼働率は55%(令和3年8~11月)とコロナ渦においても集客を保っています。また地域の食を楽しんでもらえるよう各室に本格的なキッチンを整備し、食材とレシピの提供をしています(夕食「若狭の海と山を味わう蒸し料理セット」や朝食「朝粥~熊川葛のあんかけ~」等)。さらに婦人会「おもてなしの会」と連携し夕食「熊川のおもてなし膳」を部屋まで運ぶサービスも行なっています。デキタでは八百熊川を地域活性化のための地域ブランドに育てるべく事業の多角化を進めてきました。昨年12月に八百熊川STOREというECサイトをオープンさせ、物販業を開始しました。また夏には空き家を食品加工所として再生し製造業も開始することとなっています。デキタの取り組みを多くのメディアに取り上げていただいたことで、熊川宿のイメージが「若い人が元気な場所」「オシャレなお店ができた場所」「外から事業者が来ている場所」といったものに変化してきています。実際ここ2年の間で、忍者をテーマにした体験館、給食メニューを出すカフェ、若狭の物品を扱う古道具屋などが開業しています。

PRポイント

「街道シェアオフィス&スペース菱屋」の開発以後、約3年半で熊川宿には大きな変化が起きました。デキタだけでも計4件の空き家が、他事業者と移住者により計6件の空き家が再生されました。県内を中心に熊川宿に関する報道が続き、これまでになかった若い世代や県外からの来訪が大きく増えています。民間事業者の出店が相次いだことで、長年保存のまちづくりを進めてきた熊川宿において活用のまちづくりの機運が高まっています。民間が先行するなか、町も熊川宿の活性化に本格的に動き出し、町と地域が熊川宿の整備計画である「熊川地区グランドデザイン」を一緒に策定するなど面的な広がりをみせています。町は現在、熊川宿から高島トレイルに接続する熊川トレイルの開発、サイン類や街路灯のリニューアルを進めています。さらに熊川宿の周辺環境整備を進めていくため、昨年11月にデキタを含む地元企業4社と若狭町が出資し、まちづくり会社(株)クマツグを設立しました。(株)クマツグでは、キャンプ施設の開発・運営(令和5年開業予定)、小学校跡地の公園化事業(令和4年で検討中)などを予定しています。またまちづくり組織である「若狭熊川宿まちづくり特別委員会」が移住希望者、新規出店希望者に向けたガイドブック「暮らしと出店のガイド」(令和3年)を制作するなど、地域のまちづくりにも新しい動きがうまれています。デキタもより熊川宿の周知を図ろうと熊川マルシェという空き家を活かした物販イベントを有志とともに開催しており、ハード、ソフト両面を活かした取り組みを展開しています。民間事業者の進出、町やまちづくり会社による面的な環境整備、地域団体のあたらしい動きが一体となり、エリアイメージが変わるような好循環が断続的に発生しています。また歴史的街区である魅力に加え、キャンプ施設や熊川トレイルといった周辺の自然環境を活かす取り組みが進んでおり、若狭地方の文化と自然を両方楽しめるアフターコロナのまちづくりとしても可能性が広がっています。


参考サイト