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2022年度

「地方創生賞(コト部門)」

コト部門大槌ジビエソーシャルプロジェクト
岩手県上閉伊郡大槌町

概要

岩手県沿岸南部に位置する大槌町は、震災後10年間で鹿の数が激増し、鹿による農作物被害や交通事故に悩まされてきました。有害駆除で多くの鹿が捕獲される一方、ジビエ加工場のない岩手県では、そのほとんどが廃棄されてきました。そのような状況下で、かつて「害獣」と呼ばれた鹿を「まちの財産」に変えようと立ち上がったのが、【大槌ジビエソーシャルプロジェクト(OGSP)】です。OGSPでは、町民・企業・行政が協働し、「捕獲→加工→流通→ツーリズム→ハンター育成→捕獲」の一連のサイクル、通称「大槌ジビエサイ クル」を構築し、持続可能なまちづくりを推進しています。捕獲された鹿を搬入している、岩手県初のジビエ加工場「MOMIJI株式会社」では、年間約300頭の鹿を受け入れ、「大槌鹿」としてブランディングし、販売しています。また、鹿の角やなめし革は、町内外のクラフト作家・企業との協働で製品作りを進め、キーホルダーやタペストリー、小物入れなどの新たな「財産」に生まれ変わります。さらに、大槌ジビエを観光資源としたツーリズムや修学旅行の受け入れも行い、これまでにのべ300人以上の方が大槌にお越しくださいました。大槌ジビエツーリズムでは、ハンターが鹿を捕獲してから解体するまでを体感するプログラムのほか、鹿革を使ったキーホルダーづくり体験、大槌鹿のジビエバーベキュー体験など、多方面のニーズにお応えできるような企画を揃えてきました。これらの体験を機にハンターを目指す方向けの「ハンター育成プログラム」では、狩猟免許の取得やハンタースキルの育成を目指す講義を実施し、昨年度は大槌町内で新たに10名のハンターが猟友会に参加するなど、ハンターの後継者育成に大きく貢献しました。新たに加わったハンターは、現在も大槌町内の鹿の捕獲に携わっています。また、OGSPの取り組みに共感した5名の地域おこし協力隊が大槌町に移住、就職するなど、大槌町の移住促進や関係交流人口の増加にも大きく貢献しています。このように、大槌町では「害獣」を「まちの財産」に変える取り組み「大槌ジビエソーシャルプロジェクト」によって、持続可能なまちおこしが進められています。

PRポイント

【誰もが分かる】OGSPに関する取組をYouTube動画(参考URL)で紹介したり、SNSを用いて積極的に情報発信したりと、大槌町内外問わず多くの方にOGSPに触れ、知っていただけるような工夫をしています。また、キッチンカー事業とも連携し、県内外のイベントで鹿肉料理を実際に味わっていただき、ジビエを身近に感じていただけるような機会づくりを進めています。【新しいアイディア】OGSPは、ジビエの加工販売だけでなく、ツーリズムやハンター育成などの多様な取り組みにより持続可能な地域社会の実現を推進しています。また、日本全国が共通で抱える鳥獣被害の解決を目指し、「大槌ジビエサイクル」の普及活動を行っています。【誰でも参加したい】ハンターを目指す人はもちろん、ジビエに興味を持つ方、DIYや革雑貨作りをしてみたい方など、多様な意欲を持つ方に、本取組にご参加いただいております。特にツアーでは、家族での参加や子どものみの参加、山歩きが難しい方の参加など、様々な方の参加を想定した多岐にわたるプログラムを提供しております。【写真映えする】ツーリズムや教育受け入れを通して、ハンターの目線で見る動植物の様子や、山から望む三陸の景色、ジビエ事業に携わることでしか見えない食のストーリーなど、普段見ることのできない、ここだけの映像を体験することができます。【思わず人に教えたくなる】ジビエツアーや教育受け入れでは、近年の大槌の状況や、農家の想い、ハンターの想いを語っていただく場面を設定しています。大槌町民のストーリーを提供することで、参加者は大槌のリアルを体感し、命について考えたり、食育につながる体験をしたりします。このようなプログラムを取り入れることにより、ツアーを通して考えたことや感じたことを、自分事として、参加者のご家族やご友人に伝えたくなるようなツアーづくりを進めております。【地域が元気になる】OGSPの取組が、大槌町の関係交流人口増加につながっています。移住の観点では、地域おこし協力隊5名が大槌町に移住し、大槌町民の一員として協働しています。また、ツアー参加者の中には、旅行で再度大槌に来ていただいた方や、ジビエを学ぶためにインターンに来た大学生などがおり、こういった「大槌のファン」が増えることで、大槌町が元気になり、「ジビエを起爆剤としたまちおこし」が進められています。