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2020年度

「地方創生賞(コト部門)」

コト部門気球の飛ぶまち加西
兵庫県加西市

概要

兵庫県内でも加西市にしかない気球を活用した取組で、観光客の誘致と地域活性化を狙っています。また「気球の飛ぶまち」という独自性により、市民一人ひとりがふるさとに対する愛着や誇りをもてる取組です。兵庫県加西市で気球が飛行し始めたのは、2014年。その後、熱気球全日本学生選手権や市政50周年記念など気球関連事業を実施。気球シーズン11月から5月になると、全国より気球愛好家が飛行をしに加西市を訪れます。冬の早朝、キリッとした寒さの中に気球を見つけると、心が踊りだします。2016年10月には、全国でもここにしかない気球の条例「気球の飛ぶまち加西条例」を制定し、次のような取組を展開しています。<飛行できる環境の整備>「気球の飛ぶまち加西推進委員会」を設置し、地域の方にも積極的に関わっていただき、気球の飛行できる環境の整備を行っています。農業や家畜、野鳥などに配慮するなど独自の申し合わせ事項を設定し、関係各所とも連携を図り安全・安心な飛行エリアを構築しています。<気球を使用したふるさとのPR>2019年、オリジナル気球を制作し地域の魅力を全国に発信しています。オリジナル気球は、市内外の気球イベントなどに出張し係留体験などを行っています。<市民パイロット及び気球チームの養成>熱気球操縦士技能証の取得に対する養成講座を実施。2020年には2名の市民パイロットが誕生。また、加西エリアの特徴として、気球を応援する市民チームの活動も盛んで、気球飛行だけでなく、地域と連携したイベントを行っています。(気球を活用した三世代交流イベントや婚活イベントなど)主体者を市民とすることで、より継続し、より地域に根ざした事業になりつつあります。<小学校4年生理科の大実験>地域の小学校4年生を対象とした気球教室「アクティブバルーンスクール」を実施。エネルギーの変化を学ぶ理科の単元において、気球を使った大実験を行っています。学校、先生とも協働しながら授業内容を考案しています。<気球イベントの開催>「ハッピーバルーンクリスマスin加西」の開催。今年度で2回目の開催。気球パイロットがサンタクロースに扮して飛行し、着陸地点で子どもたちにお菓子のプレゼントを配布するイベント。シーズン最多の気球のフライトと、夕刻より気球を行灯に見立てた光と音楽のイリュージョン、セント・バルーンナイト(バルーングロー)を実施しています。年々来場者数も増えています。

PRポイント

「加西市=気球」となったのには、いくつかの運命的な要素があります。①地形と天候②鶉野飛行場跡(戦争遺跡)加西市は台地上の平野が広がり、上空には比較的落ち着いた風が吹く、気球にとっては好条件の地域です。冬型の気圧配置で北風が強まる予想の日でも、中国山地が風をブロックします。大きな河川や海風の影響を受けることもなく、シーズンを通して飛行可能な日が多くあります。(気球の飛行は、雨天中止。雨が降らなくても風が強く吹くと中止となってしまいます。)もちろん、飛行を妨げる高い建物などがないなど、適度な田舎であることも好条件です。そんな地に、第二次世界大戦中に使用されていた旧姫路海軍航空隊の滑走路(鶉野飛行場跡)が当時の姿をとどめ残っています。海軍最強にして最後の局地戦闘機「紫電改」などの最終組み立て工程と完成後のテスト飛行などが行われ、終戦の日までこの地にありました。神風特攻隊「白鷺隊」が編成され、この地から多くの若者たちがさまざまな思いを胸に飛び立って行った場所です。不思議なことに、加西エリア上空の風は、この鶉野飛行場跡に向かって吹いていると気球パイロットは語ります。戦闘機の離陸時の負荷を考え滑走路の向きが設計されているのではないかと考えられます。現在では、鶉野飛行場跡を気球の離着陸地として活用しています。戦後75年が過ぎ、この地を気球が飛行しています。平和の象徴とも言われる気球が、過去と現在をつなぎ、さらに未来に向かって飛び立とうとしています。現在、第二次世界大戦当時に旧海軍飛行機ゆかりの地として空でつながっていた4市(兵庫県姫路市・兵庫県加西市・大分県宇佐市・鹿児島県鹿屋市)にある地方公共団体、観光関係団体等が連携し「空がつなぐまち・ひとづくり推進協議会」を立ち上げています。平和ツーリズム普及においても、気球を活用した取組を実施しています。時を超え、地域を超え、世代を超え、地形や歴史までが加西市に上昇気流を運んでいます。コロナ禍においてこそ、多くの人が上を向いて歩けるような取組へと発展していきたいと考えています。


参考サイト