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地方創生担当大臣賞

政策奨励

北海道美瑛高等学校における
キャリア教育の実践
北海道美瑛町

ー Summary ー
ふるさと名品の概要

北海道美瑛⾼等学校は、平成27年度より「キャリア教育・職業教育推進事業」を実施している。年々⽣徒の実態に合わせつつ、より⾼い教育効果を期待して「地域連携」をキーワードに独⾃の教育実践に励んできた取組について紹介したい。 美瑛町は、旭川市から南東23キロに位置し、本校⽣徒は地元出⾝の⽣徒が約2割に対し、旭川市から通学してくる⽣徒が約8割となっている。基本的⽣活習慣や学⼒等が⾝に付いていない⽣徒や、⾃⼰の将来像に希望や可能性がイメージできない⽣徒もいる実態を踏まえ、「キャリア教育」の⼯夫・充実を図ってきた。 本校では、1学年の教育課程に学校設定科⽬として「キャリア探求」を開設し、平成28年度から各教科においてもキャリア教育の視点を盛り込みながら、本格的に始動した。授業の⽬標は、変化の厳しい社会の中で、⾃⽴して⽣きていくために必要な社会的・職業的な能⼒や態度を⾝に付け、⾃分の夢や⽬標をしっかりと持ち、挑戦する⽣徒を育てることである。 ⽬標の達成に向けて、⼤きく三本の柱を軸に授業を組み⽴てた。⼀本⽬は、キャリア意識の⾼揚を⽬指した「キャリア講演会」の実施である。教育効果の⾼い講師を招聘し、⽣徒の実態を把握した上で講義やグループワークを実践することにより、学校⽣活に対して前向きに取り組む態度を育成することができた。 ⼆本⽬は、他校では⾒られない独⾃の取組である「地域巡検」である。美瑛町の主要産業である観光に着⽬し、⾼校⽣の視点から観光の在り⽅や地域の活性化について考察するものである。世界的に著名な写真家から講演を受け、⽣徒たちが巡検・写真撮影を実施し、その後、北海道⼤学から協⼒を得て、町や観光、産業の活性化等について深く学ぶ。地域との連携、⼤学との連携というスタイルで実施することによって、より多⾓的で深い学びへと繋がっている。 この地域学習を踏まえて、1学年全員で実施する「インターンシップ」が三本⽬の取組である。町内企業の全⾯的な協⼒のもと、⽣徒の進路希望に合わせて実施しており、終了後は、学んだ内容を踏まえて、地域における各業種の状況を考察し、⾃分の職業観や⼈⽣観を深化させて、今後の⽣き⽅や⽬指す⽅向性を企業に向けて提⽰する発表会を⾏った。 このような学習を通して、⽣徒は地域の魅⼒や現在抱える課題に気づくと同時に、その課題解決の⽅策や⾃らの⽣き⽅を真剣に模索する姿勢へと確実に変容した。

ー Strengths ー
PRポイント

最⼤のPRポイントは、「“美瑛”の魅⼒を最⼤限に活かした地域連携型キャリア教育」である。“美瑛”という地域の素晴らしさを、授業を通して⽣徒が強く感じ、⾃らが地域の活性化について真剣に考察し⾏動することが、地域の魅⼒づくりへの貢献につながっているという教育活動である。 町の重要な基幹産業として農業があり、⽇々の⽣活が織りなす農業⾵景が「丘のまちびえい」として世界的に認知される観光地となっている。その地の利を⽣かし、「農業」・「観光」・「⼈」の三⼤要素のつながりを教材として、独⾃の新しいアイディアを盛り込んだ教育プログラムが「地域巡検」である。まずは、⽣徒を地域の魅⼒に強く引き寄せるため、通常の⾼等学校では実現しがたい程に有名な中⻄敏貴⽒(写真家)を講演者として招聘し、最新のカメラで撮影した美瑛の美しい写真の紹介を受けた。さらに中⻄⽒のガイドのもと、⻘い池や丘の⾵景を巡検し、撮影の仕⽅を教えてもらいながら写真撮影を楽しんだ。多くの観光客が訪れる美瑛の魅⼒を肌で感じた後、美瑛の町づくりに以前から関わっている北海道⼤学と連携してグループワークを⾏った。テーマは、美瑛観光の活性化と町づくりの関係性である。観光の活性化を考える時、それが美瑛に住む町⺠にとって素晴らしい⽣活環境を創出することにつながらなければ、将来の持続可能な町の発展にはつながらないことを⽣徒⾃らが気づいた瞬間であった。 その気づきを契機に、町の産業がどのようにつながっているかを考えさせるため、⽣徒の進路希望に合わせて「インターンシップ」を実施した。実習期間中、⽣徒は⽬的意識を持って懸命に取り組んでおり、前向きな姿勢が地域に広がることによって協⼒企業の数は年々増加している。実習終了後は、「connected〜社会とつながる」をテーマに企業研究し、社会情勢から現状把握をするとともに、未来的思考を持って⾃分⾃⾝の未来予想図を提⽰した。学習の成果を企業や学校関係者など、広く地域に公開することで、確実に本校に対する期待度は⾼まっている。 キャリア教育の成果として、地元企業への内定者が増加するなど、地域の⼈材育成につながっていることは確かである。学校が地域と連携し、地理的・⼈的資源を最⼤限に活かした教育の実践を通して、⽣徒が地域の魅⼒に気づき、⾃分のキャリアプランに重ねながら地域に貢献できる取組を、今後さらに発展させていきたい。

  • 地方創生大賞(ヒト部門)

  • 地方創生大賞(モノ部門)

  • 地方創生大賞(コト部門)